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コラム・クリス-ウェブ 佳子

2020.05.20

Vol.02 略して整癖

整理整頓はメディテーション

物心つき始めた頃から整理整頓が好きでした。小学生になり、念願の勉強机を買ってもらったその日から、全ての引き出しを整理整頓することは日課となり、学校に着けば道具箱の中身を全て取り出して詰め直す作業をしないことには授業に身が入らないほどでした。家族全員分の洗濯物を畳んで仕舞い込むことも大好きで、学校で使わない下敷きを中敷にして全ての服を同じサイズで畳む私に、「誰に似たのかねぇ」と母はよく首を傾げていました。

 

 

(写真1)外出自粛期間中、夢中でしていたのはパズル!

『PC-9801』が全てのきっかけ

勉強机の引き出しや学校の道具箱だけでなく、父の工具箱や母の宝石箱など、とにかく四角い形の中に規則正しく物を詰め込むという作業に、むかしも今もある種の快感を覚えます。思えば、私がそんな整理整頓癖、略して整癖(へき)に目覚めたきっかけは、今から35年前、私が5歳の時だったかもしれません。ある日、新し物好きの父が日本のパーソナルコンピューターの代名詞、いまだ人気の高い名機『PC-9801』を買って帰ってきたのですが、当時『パックマン』と『テトリス』が大流行するなか、私が最も惹かれたのは『倉庫番』というパズルゲームだったのです。作業員を操作して倉庫内に乱雑に置かれた荷物をゴールへ運ぶという、至極単純なパズルゲームなのですが、「これぞまさに整理整頓!」とそれはそれは夢中になりました。

 

 

四角く仕切られた部屋と朝食と私

『倉庫番』の他にもう一つ、幼い私が夢中になったのが郵便受けに投函される不動産チラシです。学校がない日曜日の朝、不動産チラシに掲載された間取り図に目を凝らし、四角く仕切られた部屋をどんな風に装飾しよう、どんな家具をどう配置しよう?と赤ペン片手に真剣に考えることが日曜日の楽しみだったのです。快適な生活動線を確保するための家具の配置、空間を広く見せるための規則を自分なりに見つけ出そうと、早く片付けたがる母と朝食そっちのけで没頭していました。

 

 

家集いが流行るかも?

外出自粛期間中、多くの友人が食器棚や倉庫の整理整頓、もしくはインテリアの更新に精を出していたようです。仕事から戻って眠るだけだった自宅を心地良く過ごせる場所として見つめ直す良い機会だったのかもしれません。「元に戻ったら遊びに来てね!」とすでに数件、招待されています。実現する日を楽しみに私はワインを1ケース買いました。

 

 

(写真2)私もリアル倉庫の整理整頓をしました!

一番好きな場所はやっぱり

緊急事態宣言発令の1ヶ月前、Instagramに「旅が生活の中心だったので、今の状況は、雲がかかったように感じます。なにかアドバイスください」というメッセージが届きました。あの頃は、両親にも祖母にも友人も仕事仲間にも会えなくなる日が来るなんて想像すらしていませんでしたが…。今は“良いこといっぱい”で毎日を埋めながら、みんなに会える日を心待ちにしています。

 

 

(写真3)Instagramアカウント @tokyodame のストーリーズハイライト「Q&A」より

クリス-ウェブ 佳子 <モデル/コラムニスト>

1979年10月、島根生まれ、大阪育ち。4年半にわたるニューヨーク生活や国際結婚により、
インターナショナルな交友関係を持つ。バイヤー、PRなど幅広い職業経験で培われた独自のセンスが話題となり、
2011年より雑誌「VERY」専属モデルに。ストレートな物言いと広い見識で、トークショーやイベント、空間、
商品プロデュースの分野でも才覚を発揮する。2017年にはエッセイ集「考える女」(光文社刊)、
2018年にはトラベル本「TRIP with KIDS ―こありっぷ―」(講談社刊)を発行。interFM897にてラジオDJとしても活動中。

Instagram: @tokyodame |

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