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コラム・西村千恵

2020.08.12

Vol.1 スーパーには並ばない ”もったいない野菜” たち

 

はじめまして、ファームキャニングの西村です。

ファームキャニングでは、無農薬栽培や有機栽培といった持続可能な農業を応援すべく、規格外の野菜を農家さんから買い取って瓶詰めの製造販売やケータリングなどを展開しています。

 

 

東京で生まれ育った私が、神奈川県葉山町へ移住を決めたのは5年前のこと。

 

家族との過ごし方、育児について考え、仕事も一区切りする決断を経て、初めて東京以外の地に引っ越すという選択をしました。「肌に合わなかったらすぐ戻ればいい」という軽い気持ちで引っ越してみたら、もう居心地が良すぎて一度も戻ろうとは思わず今に至ります。現在は、葉山町の隣の逗子市在住です。

 

自宅から歩いて3分の海では日々子供たちが遊んでいる

もともと東京ではオーガニックカフェの立ち上げから運営に携わっていたので、移住をするにあたり、海山のある地元の無農薬野菜やオーガニックなライフスタイルが待っているのではないかと胸を高鳴らせてやって来ました。

 

しかし意気揚々と買い物に行くと、スーパーでは日本各地の遠方から届けられた野菜や魚などばかりで、ほとんど地元で採れた野菜が販売されていないことに驚きました。

こんなに山や自然があるのに無農薬の野菜を近くで作っている人はいないのだろうか… そんな私のモヤモヤした気持ちを汲んだかのように、友人がとある農園を紹介してくれます。

 

そこは畑というよりも、山の中。開墾からはじめ、無農薬、無化学肥料で野菜を栽培していました。

あたり一面にはよもぎや、野山の植物が生い茂り、その中で少量多品目で作られる野菜たち。私はその土地に一目惚れをしてしまいました。

 

気づけばまだ歩けない1歳児の次男をおんぶして、収穫や出荷のボランティアをしていました。謝礼は採れたて野菜。これぞ、望んでいた生活!とばかりに、私はワクワクと農園に通ったのでした。

 

東京ドームより広いくらいの敷地の農園

当時1歳だった次男の日常となった畑

仕事では触れていた有機栽培の野菜や、食のこと。

生産者側に立つとは思いもしなかった私は、無農薬、無化学肥料で栽培することの想像以上の大変さを目の当たりにします。

大きな芋虫が野菜についていれば「虫、取って、指で潰して。」と言われ絶句したり。種をまいて、発芽して、ようやく収穫という段階で虫に喰われ、出荷するには見た目が悪すぎるからヤギの餌に回されてしまう。そんな時は、日々畑に通った3〜4ヶ月は一体何だったのか!!という悔しさを感じました。

 

 

こんな可愛い野菜に出会えることも!

「自然に育ったものを食べたい」とは簡単に言えますが、自分が日々食べるための野菜を安定的に栽培することがいかに難しいことか。

自分にとって難しいことを、代わりに請け負ってくれている人がいる。その方たちはもっと敬意を払われるべきだし、もっとこの苦労や背景を知ってもらいたい。そんな思いが強くなっていきました。

 

多少傷が付いていたり、形や大きさがバラバラな野菜が育つのは自然の中では当たり前のこと。

しかし、人間社会の中で、効率よく流通に乗せるために同じ大きさや形がよしとされ、曲がっていたり色にムラがあるものなどは規格外とされて販売されていません。

見た目の違いで、味は変わらず美味しい。ならば、これらの野菜を販売しないのはもったいない!

そう思って、ポタージュの素や野菜のソースなどを瓶詰めとして個人的に作り始め、それがやがて仕事となったのでした。

 

季節の野菜を使ったペーストやソースたち

今もスーパーでお買い物もしますし、規格が一概に悪いとは思いません。

ただ、お店でもし、ちょっと形がユニークなものや色や大きさの不揃いな野菜たちを見つけたら、手に取ってみてください。

そして、どんな畑で、どんな風に育ったのかな?とちょっぴり思いを馳せながらご自宅の食卓にお嫁に迎えてもらえたら嬉しいです。

 

次回はそんなもったいない野菜を見つけたら、作っておくと便利なおすすめレシピを紹介したいと思います。

 

 

<Bloomoi 編集部より>

ファームキャニング西村さんにも登壇いただいたイベント「衣食住の視点で考える『わたしと暮らしとつながるSDGs』」レポートもぜひご覧ください。

 

 

西村千恵 <ファームキャニング代表>

西村千恵/FARM CANNING代表
東京生まれ、逗子在住。高校時代のドイツ留学にて、ベジタリアン・元ヒッピーのシングルマザーだったホストファミリーの生き方に多大な影響を受ける。子育てを機に葉山へ移住、 FARM CANNING設立。生産者から規格外となり廃棄されてしまう運命だった”もったいない野菜”を直接仕入れ、”もっと畑を日常に” をコンセプトに瓶詰めやケータリングなどの事業を展開している。

著書に『野菜の時間』をまとめた『野菜まるごと 畑のびん詰め 季節のファームキャニング』(NHK出版)、『畑から生まれた野菜のいちばんおいしいレシピ』(家の光協会)。

FARM CANNING公式サイト(外部リンク) |

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