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通いたくなるゴミ置き場 "GOMMY" station!
with holiday(ホリデー)

通いたくなるゴミ置き場 "GOMMY" station! with Holiday(ホリデー)

マンションのゴミ置き場について、私たちは以前から問題意識を持っていました。長年継続している入居者へのヒアリングで、ゴミ分別や衛生環境について常に声が上がります。これまでは運用ルール遵守の徹底に頼るしかありませんでしたが、今回は「ゴミ置き場が変われば、意識も変わるのではないか」と視点を変えて、空間デザインでの課題解決にbloomoiがチャレンジ。holidayさんをコミュニケーション・デザイナーとしてお迎えし、ついに、通いたくなるゴミ置き場「GOMMY」が完成しました。

名称をゴミ置き場からGOMMY(ゴミー)へ

holiday:このプロジェクトに関わるきっかけは、bloomoiメンバーの鈴木さんが僕たちのイベントへ来てくれたことです。holidayらしさを表現したクリエイティブや考え方、コミュニケーション・デザインを楽しく知ってもらうイベントで、僕が駅長になり「holiday station」としてご案内しました。その後もbloomoiメンバーの皆さんで、holidayが運営する葉山の食堂「HOLIZONTAL」へご飯を食べに来てくれましたね。そして鈴木さんから「あるマンションのゴミ置き場を楽しくしたい」とオファーを受けました。ゴミ置き場の課題は「分別がよくわからない」「できれば行きたくない」「ニオイや汚れが気になること」と明確でした。生活に密接している場所なのに、マイナスイメージの多いゴミ置き場。その印象をチェンジするコミュニケーション・デザインを考案しました。

通いたくなる「ゴミ置き場」

小学校PTA活動での経験がヒントに

holiday:まずは名称を考えました。ゴミ置き場ではなくて、もっと愛着が持てたり、気持ちがハッピーになる呼び名にすると、暮らしている人とゴミ置き場の関係性が変わるのではないか。そこで提案したのがGOMMYです。ロゴもGOMMYの頭文字のGをベースに作りました。「GOMMYに行ってくるね」「あ、今日はGOMMYの日だ」と日常の言葉が変わると、印象も変わります。名称やロゴの影響力は、小学校のPTAでも感じていました。PTAという言葉にはなぜか真面目で堅苦しい印象がある。ちょっと面倒だなと思いますよね。僕はPTA会長という立場で、「イッテキさん」という名称とロゴを作ってみたんです。そしたらPTAに対する空気感が変わりました。Tシャツを作ったり、イベントをプロデュースするなど、保護者や子どもたち、先生たちにとって、PTAがもっと身近で愛着のあるものになりました。PTAの新しい世界観を作ったように、ゴミ置き場の新しい世界観を作る。そんなことを意識しました。

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楽しさやユーモアに溢れたデザイン

holiday:デザイン提案の当初は、天井からグリーンをぶら下げる案などを出してディスカッションを重ねました。管理や衛生面といった観点で取捨選択した結果、天井はグリーン、床はブラウンの塗装で視覚的に自然を感じさせるものにしました。照明は、通常使われることの多い蛍光灯ではなく住まいで馴染みのある温かいライティング。誰にでも分かりやすいように、ピクトグラムは種別ごとにイラストを描いて、小さなお子さんがまだ文字を読めなくとも視覚的にパッとわかるものにしました。GOMMYと繋がりを持たせるように、それぞれがキャラクターとして存在しています(全てのピクトグラムのイラストに目がある)。外国籍の方でもわかるように英語表記も合わせて記載しています。プレートカラーはポップで明るい気持ちになるカラーでありながら、機能性も加味しました。Brillia 西国立のある立川市の「ゴミ分別マニュアル」を事前に読み込んで、プレートカラーを行政指定ゴミ袋のカラーに寄せています。例えば、燃えるゴミの袋はイエローなので、GOMMYのプレートもイエローにしてリンクさせています。それも分かりやすさのデザインですね。またプレートを吊るしているバーやS字フックはブラックにしてインテリアのデザイン性を高めています。実は直前のチェックではS字フックがシルバーだったんです。でもインテリアの統一感を持たせたいし、世界観を崩したくないという気持ちがあって、ギリギリでしたが修正をお願いしました。

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GOMMYに愛着が持てれば、ゴミに対する意識も変わる

holiday:SDGsをはじめとする地球環境への配慮について、いろんなところで声高に言われますが、僕は、その環境づくりをもっと身近に、日常的に意識するための「環境づくり」をデザインしたいですね。正直に、「あ、可愛いな!楽しそうだな!」という感覚を生み出すというか。もちろん意義があって、重要なことだけど、あまりに堅苦しくて真面目すぎると面白くないし、心が動かない。社会問題を自分たちのフィルターを通じて眺めて、ユーモアのあるアイデアで解決していきたい。つい先日も、施工している方々が、現場作業に来てGOMMYを見た瞬間に「この空間は楽しいなあ!」と素直なリアクションで言ってくれたんですよね。何もデザインの背景を知らない人がそう言ってくれて嬉しかったんです。このプロジェクト成功したと思いましたね。

GOMMY

holiday(ホリデー)
http://we-are-holidayholiday.com/
アートディレクターの堀出隼と料理家の堀出美沙から成るクリエイティブユニット。“make everyday happy(毎日を楽しく)”をコンセプトに、アート&フードディレクション、ケータリング、空間演出、ディスプレイ、イベント企画、オリジナルグッズプロデュースなど「食とデザインとアート」を中心に活動中。2018年1月に葉山一色に食堂・アトリエスペース「HOLIZONTAL」をオープン。

この記事は2020年11月に当ウェブサイトで掲載された記事を編集したものです。