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我が家が一番好きな場所になるインテリア
with クリス-ウェブ佳子さん 守真史さん

我が家が一番好きな場所になるインテリア with クリス-ウェブ佳子さん 守真史さん

Brillia目黒青葉台のモデルルームを、モデルでコラムニストのクリス-ウェブ佳子さんにコーディネートしていただきました。「一番好きな場所はわが家」をコンセプトに、“社交の場”としての可能性を秘めた、リアリティのある素敵な空間が完成。今回は、インテリアは“一生の趣味”と言うクリス-ウェブ佳子さんと、サポート役を務めたインテリアスタイリストの守真史さんとともに、モデルルームのポイントや自分らしい住まい作りへの思いを語ってもらいました。

モデルルームを手がける上で、はじめに考えたこと

佳子さん:まず、この家でどのような時間を過ごしてもらおうかを考えました。ここはDINKSを想定した物件。目黒区青葉台は素敵な飲食店がたくさんあるエリアなので、友人とみんなで食事を食べた後、最終的にここへ来てみんなでもう一杯を楽しんだり、週末は家に友人を招いて食事をしたり、SNSで自分の暮らしを発信することが習慣化している人を住み手に想定しました。なので、大切な人を招くホスピタリティ溢れる社交の場として、ベッドルームまで行き来して楽しめる、“勝手が効き、身勝手でいられる”、そんな住まいを作りました。

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守さん:僕も目黒区在住ですし、佳子さんも10年近くご近所に住んでいます。コーディネーターを地域と結びつけて選出しているのは、モデルルームを作る上で非常に珍しいですよね。それだけ、エリアと密接に作ることを意識している物件なのだと思います。細かいことを言えば、この部屋にはテレビがありません。普通のモデルルームならテレビがあるのは当然だと思うのですが、このエリアに住む人ならば、一概にテレビを持っているとは限らない。レイアウトの自由度も格段に上がりました。

写真左:クリス-ウェブ佳子さん、写真右:守真史さん 写真左:クリス-ウェブ佳子さん、写真右:守真史さん

佳子さん:一番に決めたのはソファです。色はブルーとグリーンを基調にしています。最初に配置した家具はダイニングテーブルで、丸いタイプを選びました。四角いテーブルよりも丸いテーブルの方が椅子の数をフレキシブルに増やせるんです。またコンパクトな部屋だからと小さな家具を置くのではなく、ダイニングテーブルやソファも大きくゆとりのあるものを選んでいます。そうすることで視覚的に収容力に余裕が生まれ、空間がより広く見えるんです。くつろぎの観点でも、人が自然に集まるのはダイニングルームやリビングルームですから、そこに配置する家具はたっぷりとした存在感のあるものを選んでいます。

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レイアウトにも工夫を凝らしました。キッチンカウンターの前にダイニングテーブルを配置すると、リビングダイニングという1つの空間が“食べる場所”と“くつろぐ場所”の2つにゾーニングされてしまいます。目的・用途で部屋を家具で分断するのではなく、空間を広く使えるというひらめきを抱いてもらえるよう、ダイニングテーブルはあえて窓際に配置しました。

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もの選びに時間をかけて、リアリティのある空間に

佳子さん:今回モデルルームをコーディネートするにあたって、もの選びにはとても時間をかけました。家具やオブジェはもちろん、壁紙やラグ、照明、戸棚にしまっている食器類や洗面所のスキンケアアイテムなどのディテールまで、すべて気持ちを込めてセレクト。今回は限られた時間のなかで、住み手が暮らしてきた時間を作り上げなくてはならない。だから、花瓶ひとつを選ぶのにも何百個と見て、たどり着くまでに何時間とかかりました。部屋全体にエイジング感を作り込むことで、人の気配を感じてもらえるのではないかと思います。また、イメージのものが見つからなかった玄関の大理石の棚は、コンパクトな空間に合わせて守さんにオリジナルでデザインしてもらいました。

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守さん:一般的なモデルルームのコーディネートは、あるひとつのテーマを決めて、それに沿って表現していくもの。ですが、佳子さんと僕はひとつの言葉やテーマに縛られる空間は、なんだか人の気配がなくて物足りないと思っていて。モデルルームだけど、そこに時間の積み重ねがあるように、人が長く住んでいるように見せることを意識しました。それがひいてはリアリティに繋がるのではないかと思っています。

社会環境によって変化する住空間と、インテリアのこれから

守さん:家にいる時間が増えて、これからはみんながそれぞれのオリジナリティに富んだインテリアに目を向けるのではないかと思います。それはある意味、インテリアへの向き合い方が成熟すること。住まいのインテリアは、「〜スタイル」や「〜テイスト」とパターン化されがちですが、本来自分が居心地よくアレンジしていくことが、インテリアの醍醐味だと思うんです。今回、佳子さんがたくさんの家具を海外から輸入したのも、日本にはなかったからという理由が大きいはず。欧米はインテリアの市場が大きくて、いろんなものを選べる環境があります。ですが、日本国内だけですべてを調達しようとするとどうしても似通ったものになりがち。日本は売っても買う人がいないから、市場が小規模なんです。もっとたくさんの人がオリジナルなものを探そうと思えば市場規模も広がるし、これからもっとおもしろいインテリアが日本で生まれると思います。

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佳子さん:まさにそのとおりですね。居住空間に求める主軸が、利便性や効率性ではなく、安らぎや自分らしさを求めることへ変わって、一番好きな場所はわが家だと気付ける人が増えていくのではないかと思います。

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Photo : Shinji Serizawa
Text : Runa Kitai
Stylist : Yutaka Asakura (クリス-ウェブ佳子さん)
Hair & Make-up : Hitomi Akiyama/PEACE MONKEY (クリス-ウェブ佳子さん)


クリス-ウェブ佳子
モデル/コラムニスト/ラジオパーソナリティ
1979年10月、島根生まれ、大阪育ち。4年半にわたるニューヨーク生活や国際結婚により、 インターナショナルな交友関係を持つ。バイヤー、PRなど幅広い職業経験で培われた独自のセンスが話題となり、 2011年より雑誌「VERY」専属モデルに。ストレートな物言いと広い見識で、トークショーやイベント、空間、 商品プロデュースの分野でも才覚を発揮する。2017年にはエッセイ集「考える女」(光文社刊)、 2018年にはトラベル本「TRIP with KIDS ―こありっぷ―」(講談社刊)を発行。interFM897にてラジオDJとしても活動中。


守 真史
インテリアスタイリスト/プロダクトデザイナー
1981年神戸市生まれ。大学卒業後、2006年からイタリアモダンファニチャーブランド〈Cassina〉の日本代理店〈Cassina ixc.〉に勤務し、法人営業、商品開発、商品企画を経験した後、2011年からは統括VMDを担当。2017年には、自身のインテリア会社〈CIRCOWORKS(チルコワークス)〉を開業し独立。さまざまな色と素材の魅力が同居し、多様な感情を包みこむ、物語のあるインテリアスタイリングを提案。また、2020年秋に立ち上げたプラットフォーム・ブランド〈MORI project〉では、プロダクトデザインも手がける。

この記事は2020年12月に当ウェブサイトで掲載された記事を編集したものです。