bloomoi リブランディングストーリー
with KIGI(キギ)
bloomoi(ブルーモワ)のブランド発足から10周年を迎えた2022年10月。リブランディングを経て、新生bloomoiへと生まれ変わりました。私たちが実現したい世界観やビジョンを再構築するプロセスを積み重ねたリブランディング。約1年間をかけてメンバーでワークショップを行い、bloomoiの存在価値を新たに捉え直す機会となりました。新生bloomoiを表現するパートナーとしてお迎えしたのは、KIGIの植原亮輔さん(写真左)と渡邉良重さん(写真右)。KIGIを中心とするクリエイティブ・チームにより新しいロゴやコンセプトムービー、ブランドサイトが誕生しました。KIGIのお二人と当時を振り返りながら、リブランディングの舞台裏についてお話を伺いました。新生bloomoiができるまでのストーリーをお届けいたします。
ブランディングとは、二人三脚で一緒に作り上げていくもの
― bloomoiについて、どんな印象を持たれましたか。
KIGI:マンションのブランディングは初めてでした。bloomoiは、企業のチームでありながら利益追求型ではない。これは、なかなか無いこと。またbloomoiのチームは女性が多く、印象としてやわらかさがありますが、同時にプロスポーツチームのような優秀さを感じましたね。メンバーそれぞれに役割があって、ポジションをしっかり守っている良いチーム。顔を合わせるたびに、そう感じていましたね。リブランディングのお話をもらったとき、最初に考えたのは、クリエイティブのスタッフィング。どんなチームを組んでいくのかを考えました。1人で全部を背負うのではなく、みんなそれぞれのポジションを作って、役割を果たしていくようなチームはいいですよね。長年に渡って積み重ねた信頼関係や、お互いをよく知っているという安心感がベースになったチームは、とてもリラックスできます。フラットな関係性やお互いの得意な分野を理解しておくと、自分の役割も差し込みやすい。今回もそんなチームを組みました。
bloomoiとKIGI、お互いを理解することから始まった
― ブランディングのプロセスで大切にしていることを教えてください。
KIGI:今回のリブランディングでは、bloomoiとKIGIのお互いを理解するためのワークショップを設計しました。ブランディングとは一緒に作り上げていくものです。二人三脚で、足並みを揃えていくことが大切。一方的な提案やアイデアを複数で競わせる場合もありますが、あまりいい結果になりません。ブランディングをする上で、bloomoiとKIGIの脳みそをひとつにすることは絶対に必要なプロセス。だからこそKIGIの自己紹介として、これまでの作品や事例紹介やストーリー解説を丁寧にやらせていただきました。次の段階では、新生bloomoiのキーワードカードを用意して、bloomoiの皆さんと一緒にキーワードを拾い上げていくワークショップを行いました。お互いを知る、共に作り上げていくプロセスをひとつひとつ重ねていくことで、ブランドの軸や世界観、物語が浮かび上がってきます。
bloomoiは、自由に空を見渡すカモメのような存在
― クリエイティブのプロセスを教えてください。
KIGI:映像がひとつの柱になればいいと考えて、最初にコンセプトムービーを制作しました。絵、動き、物語、流れる音楽、言葉。映像でひとつの物語を作り上げるとブランドの軸が生まれます。映像でブランドの世界観を物語として構築することは、KIGIでブランディングをする際によく行う手法です。映像では、「bloomoiがカモメのような存在だ」と話していたことから着想を得て、船に例えました。人生を船旅として、見えてくる景色や思いを持った人たちが存在します。見どころは、女性の目に映るカモメですね。目を大きくしていく表現で、思いや意志の強さや映像としての面白さが生まれました。音楽の存在も素晴らしく、今回の映像のために、阿部海太郎さんに書き下ろしてもらいました。仕上がりも完璧で、bloomoiの世界観を作ってくれました。メロディがとてもわかりやすく聴いていると気持ちにスッと入ってきます。
― 新bloomoiのロゴデザインについて教えてください。
KIGI:コンセプトムービーの制作と同時にロゴを作りました。「bloomoi」という言葉は造語なので、少し読み解くのに時間がかかると考え、デザインでキャラクターを立たせることが大切だと思いました。文字のカタチや並び、品の良さや柔らかさ、寄り添う存在であるbloomoiのキャラクターを表現しました。男性にも女性にも受け入れやすいものであり、またチームを象徴するワッペンのような意味合いも込めて、線で囲いましたね。ブランドサイトトップでは、動画を見た後すぐにAbout bloomoiのページに移れる構成になっています。映像を観て、気持ちが高まった時に、そのコピーを目で追うと、腑に落ちる。bloomoiのことがシンプルながらも、よく分かる流れになっています。
いつかマンションを全部つくってみたい
―これからbloomoiと一緒にやってみたいことはありますか。
KIGI:マンションすべてを手がけてみたいですね。大規模ではなく、小ぶりなマンションや、自然豊かなロケーションにある別荘のようなリトリートを目的としたものも興味があります。私たちもマンションに暮らしているので、常日頃から「もっとこうしたらどうだろう」とデザインのアイデアを考えています。日本には素晴らしい景色や豊かな自然がたくさんあります。海外で評価されているものに流されるのではなく、日本にもともとある文化や自然資源に目を向けて、自分たちが暮らしている日本に価値を感じるプロジェクトをbloomoiの皆さんと一緒にやってみたいですね。
bloomoiでは、取り組む課題解決のプロセスにおいて「共創」を大切にしています。KIGIの植原亮輔さんと渡邉良重さんから、より良いものを生み出すチームの在り方の本質を教えていただいたと感じました。KIGIさんとの共創プロジェクトは、まだまだ続きます。
KIGI
http://ki-gi.com
2012年に植原亮輔と渡邉良重により設立。
企業やブランド、製品などのアートディレクションのほか、琵琶湖周辺の職人たちとオリジナルブランド「KIKOF」を立ち上げ、プロダクトブランド「D-BROS」、ファッションブランド「CACUMA」などのデザインコンテンツを手掛ける。また、プライベートでも作品を制作し発表するなど、自在な発想と表現力であらゆるジャンルを横断しながら、クリエイションの新しいあり方を探し、活動している。
2015年、ギャラリー&オリジナルショップ「OUR FAVOURITE SHOP」をオープン。
2016年にヴァンジ彫刻庭園美術館にて「KIGI キギ in Crematis no Oka」を、2017年に宇都宮美術館にて大規模個展「KIGI WORK & FREE」、2022年に代官山ヒルサイドフォーラムにて「all is graphics」展を開催。2018年、越後妻有アートトリエンナーレ2018 大地の芸術祭<方丈記私記>に「スタンディング酒BAR・酔独楽」を出品。