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住むまちとの“つながり”がある暮らしの提案 with 良品計画

Brillia 日吉三丁目は、2023年5月に完成した総戸数42戸の新築マンションです。東急東横線「日吉」駅から徒歩8分の立地で、実物を確認できる建物完成後の販売スタイルを採用しています。当プロジェクトのコンセプトである“自分らしい自然体の暮らし”を表現するために、良品計画がインテリアコーディネートを担い、棟内モデルルームにおけるライフスタイル提案を実現できました。完成したモデルルーム空間で、インテリアコーディネーターである良品計画の村上朋子さんと堀江萌香さんに完成するまでのストーリーや暮らしに込めた想いなどのお話を伺いました。良品計画とbloomoi(ブルーモワ)の完成までのストーリーをお届けいたします。

住むまちとの“つながり”がある暮らしの提案with 良品計画

自分らしい自然体の暮らしというコンセプトから一緒に取り組むまで

−インテリアコーディネートのお話を聞いたとき、どんな印象でしたか

良品計画:ご提示いただいたコンセプトに“手の届きやすいシンプルな暮らし”というキーワードがありました。まさに、それは良品計画のブランドコンセプトと一致しています。また日吉駅や近くの武蔵小杉駅には無印良品の店舗があることや、東横沿線の自由が丘駅にはIDEEのフラッグシップ店舗を構えているので、日吉エリアとの親和性が高いと感じました。また私たちが所属する空間設計部は、“より生活者の目線”に寄り添った暮らしの提案を大切にしています。過去に新築分譲マンションのモデルルームを手がけたこともありましたが、当時は非日常な暮らしの提案や作り込んだものが多い印象でした。しかし、今回は、良品計画のブランドコンセプトにも共鳴するライフスタイル提案のご依頼でしたので、「ぜひ一緒にやらせてください」とお返事しました。

インテリアコーディネートを担当した良品計画の堀江さん(写真左)村上さん(写真右)

東京建物の共創メンバーであるBrillia ⽇吉三丁⽬事業担当者の松野尾(写真左)bloomoi⽔村(写真右)

東京建物:マンションのモデルルーム空間を検討する際に、「この場所で暮らす方々が、どのようなライフスタイルを望まれているのか?」と考え尽くす必要があります。さまざまな視点で、日吉プロジェクトの魅力や強みを見つめていった結果、“自分らしく自然体なライフスタイル”を希望している方がイメージできました。そして、このコンセプトを最も体現されている企業が良品計画さんです。ライフスタイルの世界観を表現するために、インテリアのカラースキーム(床・扉・クロス・建具などのカラー)のデザインそのものから良品計画さんにご依頼したいと考えていたので、お受けいただき嬉しかったです。

生活者の目線でまち歩き。社員アンケートで声を集める

−ライフスタイルの提案をするために、どんな取り組みをされましたか

良品計画:まずは“ここならでは”の暮らしを提案したいと考えました。私たちが作り上げるモデルルームに、暮らしている風景が反映されるよう日吉の“まち歩き”をしました。この“まち歩き”はより地域に寄り添った空間設計をデザインする際に行うフィールドワークでもあります。日吉に暮らしている人の感覚でまちを歩き、「どういう人がどんな場所でどんなことをしているか」を感じていきます。親子や学生さん、おじいちゃんやおばあちゃん、お店で働いている人、それぞれの雰囲気。日吉は、商店街や大学があり、自然も多くて多世代の人が暮らす賑やかさがあって、本当に豊かなまちだと思いましたね。

−社員アンケートを実施するに至った経緯を教えてください

東京建物:一般的には、我々(事業主)が社内でペルソナ設定をした上で、インテリアコーディネーターさんにご依頼する流れが多いです。しかし今回のプロジェクトは、異なる方法を選びました。誰もが日常的に親しみを持ち愛用している良品計画さんだからこそ、いろんな観点で共創していきたいし、“実際の声を聴くこと”を積み重ねていきたいと考えました。実際にアンケートを実施したところ、リアクションも良好で、実に多くの声を集めることができました。思った以上に、社内の協力度合いが非常に高く、具体的な声も寄せられましたね。

良品計画:無印良品 日吉東急の店舗スタッフと空間設計部スタッフとで、設問を分けてアンケートを行いました。店舗スタッフには、日吉のまちのことや平日・休日のライフスタイルなどを聴き、空間設計部スタッフには、間取りや空間のことに加えて、実際に図面を渡して「自分だったらどんな暮らしをしたい?」と家具レイアウトを書いて具体的なアイテムの提案まで関わってもらいました。また、より詳細な暮らしの話をヒアリングするなど、とても楽しみながら実施できました。

東京建物:ペルソナ設定の段階で、多くの声を集めて積み上げていくプロセスは本当に特別だったと思いますね。

声が積み重なった“暮らしのリアリティ”が心地良さと安心感に

−リビングのセンターにダイニングテーブルを配置した背景についてお聞かせください

東京建物:社員アンケートを実施した時期が2023年に入った頃で、ちょうどコロナ禍が落ち着きつつも、テレワークなど家で過ごすことが多い日常に慣れたときでもありました。オンオフの切り替えがしづらい、どこでテレワークしたらいいか悩む、という声も多くあって、部屋の一番良い場所であるリビングダイニングが主役になる空間演出ができたらいいと良品計画さんと話し合っていました。

良品計画:社内スタッフに図面を配布してレイアウトしてもらったときに、リビング空間のセンターに大きなダイニングテーブルを置く案がありました。まさに私自身もそうレイアウトしました(村上さん)。食事をしたり、本を読んだり、仕事をしたり、おしゃべりをしたりする大きなダイニングテーブルを主役に組み立てました。椅子もそれぞれテイストが異なるけれど、全体として統一感があるものを選びました。細かな点ですが、線路が近い立地を肯定的に感じるペルソナを探った結果、「電車が好き、旅行が好き」と設定し、書斎コーナーにはカメラを置いて、少しの“遊び心”を演出しています。

またモデルルームを訪れた方が「リアルな暮らしを想像できること」を大切にしたかったので、“すべて”の収納スペースに生活提案としてモノを配置しました。生活に関わるもの全てを取り扱っている私たちだからこそできる提案です。当社では一部店舗でインテリア相談会を実施しています。その相談会では入居後一年以上経つけれど、収納がうまく活用できていないという相談がとても多いので、マンションを購入する前から収納について知る・考える機会を提供できたのはとても良かったと感じています。

東京建物:収納の見せ方の提案は良品計画さんでないと実現できないものです。収納スペースはあっても、中身が空っぽだと想像しづらい。この場所の収納は、こういった使い方ができて、これだけ収納できる、という提案には「使いやすさ」というプロフェッショナルなアイデアがあります。暮らしのリアリティがあり、モデルルームで見た収納を実現しようと思えば、無印良品の店舗に行けば、すべて叶います。

住むまちと暮らす⼈の関係性が⾃然と⽣まれる仕掛け

−まちとの関係性を感じるグリーンコーディネートについて教えてください

良品計画:日吉のまち歩きをしていたときに、物件のすぐそばでとても素敵なお花屋さん(…and flower(アンドフラワー))に出会いました。暮らしのコンセプトを伝えると、話が進み、モデルルームのグリーンをコーディネートしてくださいました。生木のグリーンの種類も豊富で、鉢のデザインも素敵なものばかり。アンドフラワーさんに入ってもらえたことで、まちとの関係性を紡ぐことができました。暮らし始めてからも、お花やグリーンを実際に買いに行けますね。

私たちは、ただ空間を作るだけではなく空間が完成するまでのプロセスそのものをすごく大切にしています。どうやって周りを巻き込み、私たちが巻き込まれているか、その関係性が自然と生まれる仕掛け。本当に存在するリアルなモデルルームだからこそ実現できました。

声の積み重ねがあったからこそ新しいチャレンジが実現

−完成に至るまで、苦労した点や新しいチャレンジはありましたか

良品計画:1LDKのモデルルームにも大きなテーブルが中心にあります。大きなソファではなく、1人がけのチェアを置き、ベッドがソファを兼ねる提案をしています。ひとつの空間では切り替えが難しいとの声から、スタッキングシェルフとテーブルを組み合わせて、手前に座るときはオン(ワーク・スタディ)モードで、窓側に座る時はオフ(趣味・寛ぎ)モードの切り替えを表現。手前のシェルフには、オンのアイテム、窓側はオフのアイテムと変えています。座る場所で切り替えできるライフスタイルの提案につながりました。

東京建物:1LDKという空間提案で、ソファを外し、ここまでの大きなテーブルを置くことはなかなかありません。実際に社内でも議論の対象になりましたし、お客様をご案内する営業のメンバーの声も取り入れながら一部の微調整は行いましたが、ベースには“集めた声”から設定した“ペルソナ設定”があったので、新しいチャレンジを実現することができました。結果的に、モデルルームへ来場されるお客様の評価は非常に高いものとなりました。

−Brilliaマンション全体への印象はどうでしたか

良品計画:マンションの中にあるコートヤード(中庭)やエントランスホールがとても素敵でした。図面でマンションの計画は知っていたものの、実際に出来上がった様子を見て驚きました。毎日の暮らしの中で、目にする景色だと思うので、とてもホッとすると感じました。他には部屋の収納の場所・形状について、生活する人の視点をしっかり考えられた設計だと実感しました。無印良品の収納アイテムがジャストフィットで収まったのも驚きでしたね。

今回のプロジェクトを振り返って、「(関わった)みんなで作ったモデルルームだった」と良品計画の村上さんと堀江さんが語ってくれました。共創するということは、さまざまな立場の人たちと関わってカタチを作っていくこと。まさに関わったすべての人の想いが集積されたことで生まれたモデルルームです。良品計画さんから良好な関係性が続くモノづくりの在り方について、多く学ばせてもらいました。

良品計画
「感じ良い暮らしと社会」へ向けてグローバルに貢献する個店経営の集団として世界水準の高収益企業体を目指す。無印良品は、良心とクリエイティブによって成立しシンプルに美しい暮らしを願うお客様と共にこれからの生活に最良で最強な「くらしの基本と普遍」を共創している。無印良品店舗は全世界で1000店舗を超え、商品も、衣服や生活雑貨、食品、家まで揃う。

今回の取り組みについてのレポート
https://www.muji.com/jp/space-design/works/023/

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